第14章 余章 ―― 夜話
「あ、瑞稀さん終わったの? 勉強」
瑞稀の姿を見付けると澤子は嬉しそうに駆け寄ってきた。
「……まだだけど」
「そう」
澤子は瑞稀の腕を取り、ぎゅっとそれを抱き締めた。
「最近忙しそうだから少し寂しいけど、我慢するね」
身長差とか考えて。
こっから谷間丸見えだし。
あと胸押し付けるな。
んで何を可愛い事言ってんだ。
下衆男と扱いが違うのは取り敢えず分かった。
「大丈夫か」
「うん、大丈夫」
「俺は大丈夫じゃない」
瑞稀は澤子の腰に手を回して思いっ切り抱き締めた。
「?……瑞稀、さ、苦し……」
あー抱きたいこれ。
凄く抱きたい。
「澤子キスさせて」
「え、んぅ……」
唇に触れると今は澤子の方も反応するようになって来て、瑞稀についてくるように舌を絡めてくる。
「ん、ん……、んっ」
一年もこうしてるだけあって、快楽を受け入れるようになった澤子は最初の頃よりずっと甘い。
「はぁ…………」
口を離すととろんとして濡れた唇の澤子が瑞稀を見詰めている。
「瑞稀さ、ん……ぁ」
澤子が瑞稀の首にしがみつくようにして呼吸を荒くしていた。
いつもは止ませるんだけどな。
ちょっとこれ放っとくか。
「澤子、俺にこうされたくなきゃもっと色々考えろ」
「瑞稀さん……?」
「あとは逸巳に聞け、じゃ、おやすみ!!」
「え!? 瑞稀さ……!!」
逃げるようにドアに走り帰ってく瑞稀。
「ん、や、これ、ひど……っ!」
壁にもたれてずず、と澤子はへたり込む。
熱を持った身体が辛い。
何度されてもこれは慣れない。
そして翌朝逸巳に散々色々聞かされた澤子は、翌日からきちんとした格好をするようになった。
「やっぱり神って偉大だよな」
「……僕の気苦労だと思うけど」