第13章 Mirror
二人は瑞稀の大学卒業を待って結婚した。
三人で色々考えたが、高雄の勧めもあり高雄の敷地内に二つの住居を構え、瑞稀と澤子、逸巳がそれぞれ住む事になった。
瑞稀はいくつかの道場の師範として生計を立てることにした。
「やっぱりこれをやってる時が一番性に合っている」
「まあ、瑞稀さんがサラリーマンとか、なんか笑うしね」
『親父は厳しい』
話には聞いていたが、逸巳の生活は多忙を極めた。
仕事は勿論の事、プライベートでも語学や経営学等の知識の習得、体の鍛錬を強いられた。
早朝に瑞稀と一緒に走りながらそんな生活を愚痴り、澤子に家の事も手伝って貰いながらなんとかそれをこなしていた。
高雄の下で一つの会社を任されるようになってもいた。
瑞稀もそうだが、高雄のタフさは人間離れしている。
「二年ぶりだが、やれるかな」
久し振りに道場に顔を出したという高雄には逸巳は指一本触れられなかった。
経営者としても優秀で、その判断力、分析力、行動力は凄まじいものがある。
逸巳がここまでやって来れたのは高雄という高い目標があったからだ。
そしてそれは続く。