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Mirror【R18】

第11章 感情は航海の帆を張る


「姉さん、いい加減ちゃんと食べないと」

逸巳が心配そうに話しかけてくる。
澤子はこの所ずっと食欲が無い。

「うん……」

逸巳から無理矢理押し付けられた野菜スープを口に運んだ。



澤子はただ繰り返し繰り返し考えていた。


『来週時間空けといてくれる?』

そう言っていた瑞稀からはいくら待っても連絡が無かった。

『こうした方が分かりやすいのかな』

店で会った瑞稀からは表情が消えていた。

『俺、ずっとあんたに謝ろうと思ってたんだけど』

『好きだから』

熱っぽく私を抱き締めた。

『俺の一族は人を喰う』


人を────


澤子は瑞稀の家族が例え人殺しだとしても良かった。
だって瑞稀はそんな人じゃない。

瑞稀の家がどうあっても、私の目の前にいた瑞稀が私の全てだ。


瑞稀がまた離れていく。

そして今度はもう二度と会えない気がする。


「……嫌だ」

私は試すのは嫌だ。

自分で見て、自分で考えて、自分で選ぶ。
結果がどうなろうとも、甘んじて受け入れる。

私が初めて好きになった人。


──瑞稀のように。





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