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Mirror【R18】

第10章 前後を切断せよ


「いらっしゃいませ……あら」

瑞稀が澤子の店を訪ねた。

「近くまで来たから。 今日は普通に客だけど」
「珍しいわね」

澤子は瑞稀にぎこちない笑顔を返す。

「あれ、なんて言うんだっけ。 白い菊みたいな」

瑞稀がショーケースの中の花を指差した。

「マーガレットね」
「母親が好きな花だったらしい。 今日は命日で」
「そう……花瓶に? 少し切る?」
「いや、そのままでいい」

瑞稀の母親。
亡くなったとは聞いていたけど、詳しくは知らない。

こないだの一件から澤子は瑞稀と話していなかった。
どう話せばいいのか分からない。


『俺の一族は人を喰う』

瑞稀からいきなり自分は普通の人間じゃないと言われても、澤子はにわかには信じられなかった。
話の途中で逸巳が来て、会話も中途半端なままだ。

たちの悪い冗談としか思えない。


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