第4章 死ぬ気で鍛えろ
1年A組の生徒達がハイツアライアンスに入居してから、はや一日。
担任からの伝令を受け、朝から制服に着替え、いつもの教室へと集合してきた教え子に向かって、相澤は教壇から言葉を発した。
「昨日話した通り、まずは「仮免」取得が当面の目標だ」
ヒーロー免許を持つ者は、それが仮免許であっても、公私にわたって個性の使用が許される。
公安委員会のお膝元、例年、この国は6月と9月の年2回、全国のヒーロー志望を募り、彼らが仮免を取得するに足る能力の持ち主かどうかを国家基準で測るため、大規模な試験を執り行っている。
持つ人の良心によって、個性の使い方は多種多様。
人命に関わる責任重大な資格取得試験であるために、合格率は毎年5割以下であり、その難易度は非常に高い。
「そこで、君らには一人最低でも二つ」
教壇に立つ相澤が、廊下の方へと視線をやった。
すると、教室の扉がすぐさま開け放たれ、3人の教師が現れた。
「「「「必殺技を作ってもらう!!」」」」
相澤の声と、現れたミッドナイト、エクトプラズム、セメントスの声が共鳴する。
非日常的な夏を過ごしたために、なんだかずいぶん前に置き忘れてきてしまったかのような興奮と喜びが、生徒達の胸に湧き上がってきた。
「学校っぽくてそれでいて」
「「「ヒーローっぽいのキタァア!!」」」
急に立ち上がって歓喜するクラスメート達。
教室の窓際最後尾、八百万の座席の後ろに座っていたが、目をぱちくりと見開いて、微かに肩を震わせた。