第2章 信(しん)×村娘
「華…?」
耳に届く信様の声が心地良い。
いっそ、薬の事など黙っておこうか。
なんて黒い性格の自分に気付いてしまい、身震いをする。
言わないと…
『信、様…』
「なんだ?急にくっついたりして」
『薬の、効力…切れた、みたいです』
「え?…そ、そうかー!良かったな!ってうわぁ!?」
私から離れていこうとする信様を、振り絞れる精一杯の力で抱き寄せる。
きっと信様にとっては大した事ない力なはずなのに、そのままにしておいてくれる彼に少し期待してしまう。
彼の優しいから振り解かないでいてくれるのかもしれない。
でも、もし…彼も私と続きをしたいと思っているなら……
『わ、私…!まだ、信様と居たいです!
最後まで、抱いて、欲しいです…』
そう私が言い終わってから、信様が口を開くまでに何秒たっただろうか。
少しの間があってから、
「…いい、のか?」
そう、彼も私を抱き寄せたんだ。