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追憶【レイトン教授】

第9章 【魔人の笛】第五章――魔女の凄む家――







結局あのあと、レストランに行きガップルに会うことはできたが詳しい話を聞くことは叶わなかった。
ガップルはもともとミストハレリの町長候補だったが、それをトライトンに取られたことを根に持っていたようで、息子のルークの姿を見るなり怒りをあらわにし、何も話してはくれなかった。
トライトンが町長になったのは亡くなったアランバードの遺言のようなのだが、その話も聞けずに終わってしまった。

そのため一行は、予定どおりと言えばいいのだろうか。
アランバード邸のあるハイヤードヒルへと足を運んだ。
ハイヤードヒルは住宅街のようで大きな家が何軒も立ち並んでいる。
この区画には、警察署や黄金宮を発掘する調査隊が滞在する発掘現場や宿泊施設があるのだという。
家と家をつなぐ大きなアーチもあるところをみると、ここは高級住宅街なのかもしれない。

その先にあるミストハレリで一番大きな広場は、緑が広がりとても美しい景色だった。
アランバード邸は大広場から見えるダムの先にあるのだという。
屋敷に向かいながらも住人に話を聞いて回ったところ、おもしろい情報を手にすることができた。
どうやら魔人は一度現れた場所には二度と現れないと言う。
――何かを探しているみたい。
情報をくれた女性の言葉を思い出し、それをメモ帳に書き記す。
前を見ずに歩く彼女をサポートするレミは、ダム前に来ると感嘆の声をあげた。

眼前に広がるのは今まで見たこともないような立派なダムだった。
水路の町と言われているだけはある。
その大きさにもまた、小さく声を漏らした。
少し見て回りたいと言う欲求はあったものの、優先順位を間違ってはいけない。
ぐっとこらえ、先を行くレイトンたちの後ろをついていった。

ダムの先、そこにアランバード邸はあった。
家の前の門は破壊され、外壁には苔や錆などが見受けられ長い間手入れをされていないことがすぐにわかる程の荒れようだった。
果たして本当に人が住んでいるのだろうか。
そう思えるほどこの屋敷は老朽化していた。

慎重に階段をのぼり、庭園へと出た。
見渡すとボロボロになった風車や草木が生えた水汲みの井戸などが哀愁漂うように鎮座している。
ガーデニングに最適の庭園だったのだろうが、その姿は今では見る欠片もない。





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