第4章 【魔人の笛】第一章――霧の町ミストハレリ――
トライトンに話を聞くと、このミストハレリという町には古くから言い伝えられている『魔人伝説』というものがあるようだ。
町に危険が迫った時、魔人が姿を現して、町を危険から守ってくれると言われているらしいのだが……。
伝説と違い、ミストハレリに現れる魔人は町を破壊する敵。
トライトンは町長として魔人の正体を突き止めるべく、全力で取り組んでいるようだ。
「だんな様」
彼らが話をしているところに、声をかけてきたのは執事のドーランドだった。
ドーランドはレイトンがスコットランドヤードから難事件を幾多と解決していることをトライトンから聞いていた。
そのことを主に告げると、一瞬渋ったように顔をしかめるがレイトンに向き直り、依頼としてこの事件の解決を頼んだ。
「もちろんだ。旧友である君の頼みだ。やるだけのことはやってみよう」
「自分もクラークさんの後輩ですから、先輩の頼みとあっちゃあ無視はできないです」
「うう、おもしろくなってきましたね!」
「そういえば、クラーク。君の自慢の美しい夫人と、可愛い息子はどうしているのかな?」
「えっ!?」
レイトンの言葉に驚きの声をあげたのはだった。
「息子……?」そう呟く彼女は、どうやらトライトンが結婚していることは知っていたが、子供がいると言うことは知らなかったようだ。
「おや、知らなかったのかい?」
「知りません。教えてももらってないですけど」
当時学生で、勉学や就職活動などに時間を取られていたに遠慮したのか、トライトンはそのことを伝えず、落ち着いたら話そうと思ったまま時間だけが過ぎたようだ。
「、伝え忘れていてすまないな。……妻は旅行中でね。息子のルークなら自分の部屋にいると思うが……」
「ルークに会わせてくれないか?赤ん坊の頃に会ったきりだ」
「自分も会いたい!」
「ルークに?……まあいいだろう。部屋に行ってみてくれ」
トライトンの了承も得て、子供部屋がある2階へと向かおうとするに彼は釘を刺した。
どうやら彼の息子、ルークは最近ふさぎ込んでいるようで部屋から出ないらしい。
何があったのか聞いても話してはくれない。
もしかしたら家族以外の人間になら話すかもしれないと言うが……。
3人は調査の前に、ルークに会うことにし子供部屋へと足を運んだ。