第11章 2人の部屋
桜木「……あの時…正直、最初は戸惑ってた。奈々は大切な部下だし、お互い結婚してたから…。でも、探し回って、見つけて、捕まえた時、これからするかもしれないって考えたけど、不思議と嫌ではなかった…」
奈々「そう…だったんだ。雅弘はさ、仕事の時もよく気にかけてくれてたし面倒見良いしすごく憧れてたんだ〜。雅弘みたいになりたいなって。そんな人が、きっかけは…あれだけど…。今は私に可愛いとか髪撫でてくれたりとか、優しいことたくさんしてくれるから、正直少し…舞い上がっちゃう私がいて…。でも、嫌じゃなかったのって、私だけなんじゃないかなって。本当はあの時、2人共嫌だったんじゃないかなと思ってさ。」
私は不安を隠すように微笑んで桜木さんの方を見る。
桜木「…っ…。嫌じゃないよ。それにそんな風に思っていてくれたなんて嬉しい」
桜木さんは私を優しく抱きしめた。
桜木「花谷が羨ましかった…。奈々みたいな可愛い奥さんがいて、幸せそうで…。」
寂しそうにそう言った。
奈々「雅弘…。キス…していい?」
そう言って私は軽いキスをした。
桜木「…っ…!!」
奈々「……雅弘は、優しくて、人をサポートするのがすごく上手で。いいところたくさんあると思う。うまく表現できないけど…。私が言えることじゃないけどさ……。もっと幸せになってほしい。奥さんとの…その…今の関係は、雅弘にとってあんまりよくない…と私は思う。雅弘が辛いだけじゃないの…かな?」
奈々「…ごめん。…私が言えることじゃないよね…今のは忘れて!!」
桜木「…いや、ありがとう。優しいな、奈々…」
奈々「優しくなんかないよ…雅弘が少し心配なだけ。」
桜木「そっか…」
そう言って桜木さんは私を抱きしめた。
桜木「…もう少し…このままでいい?」
奈々「…うん。」
しばらく抱き合った後、桜木さんは私にキスをした。