第5章 忘れかけた頃に
社員旅行も無事に終わり、解散となった。
透「楽しかったね〜!また来年も一緒に…って奈々?聞いてる?なんか変だよ?やっぱり体調悪かった?」
奈々「えっ、あっ、ごめん!ちょっとぼーっとしてただけ!」
そう誤魔化しながら、少し後ろを見る。
奈々(間違いない…あの時の人だ…)
そう、あの時、取引きをしていた女が私を見張っているのだ…。
奈々(どうしよう…やっぱり怖い…透に言ったほうがいい…よね…)
奈々「透…あのさ…空港出る前に、ちょっと聞いて欲しい話が…」
そう言って解散した他の社員から距離を取り、透に全てを話した。
透「バカ!!なんで早く言わないの!警察に連絡しないと!!」
奈々「…ごめんなさい…。」
見張られている以上、下手に動けない私は、空港の職員さんに声をかけた。
職員「今の話は本当ですか?だとしたら大変だ。警察に連絡しますので別室でお待ち下さい。」
その後、別室で話をしたが監視カメラの映像もなく、証拠もない為、どうすることも出来ずにそのまま帰されてしまった…。
透「奈々…大丈夫…じゃないよな…」
奈々「巻き込んでごめん…」
恐る恐る家に帰宅。
そこからしばらくは何も起きることはなかった…。
2週間後…。
家に帰り、部屋に入ると私は青ざめた。
奈々「えっ…何これ…」
部屋が荒らされていた。
そして、一枚のメモが置いてあった。
‘必ずお前を捕まえる。怯えて生活するんだな。’
私はその場に崩れ落ちた。
もしかしてこの部屋にと思い、恐怖でいっぱいになり部屋を飛び出した。
奈々(どうしよう…どうしよう…)
その時。
ヴーーーー。ヴーーーー。
スマホが鳴った。
画面を見ると透からの電話だった。