第3章 悪夢ノ始マリ
雨の中
森に響く遠吠え
ザッザッ
くぅーん
『わんわん?さむいねぇ』
踵を返す"狼"
『ついてこい?』
頷くように瞬きをした"狼"は背を向け歩き出す
『……わんわんもひとりなの?いっしょだねぇ』
『おかさんないてた。おとさんもないてた。』
"狼"の隣を歩き話し出す幼女
『おかさんたたくの。おとさんそっぽむくの。』
相槌を打つように瞬きをする"狼"
『おかさんちがうって。おとさんごめんって。』
『ワタシじゃないって。おかさんとおとさんの子じゃないの。』
『ワタシもキこえるよ。わらうこえ。わらってゆうの。』
『"おまえはバケモノ"って』
『"お前は余の子だ"って』
『わんわん……ワタシね、ミエルの』
『黒い服着てる人』