第8章 新たな日々
私は美術館の3階に行くと
事件のあった壁画の前に館長が立っていた
壁画は結構念入りに落書きされている
「むむう…私が館長なのね…で、いきなりなんだけどさ…キミに質問したいの…落書きされた目の前にある絵を見て感じる事なんだけど…落書きされて汚くなったなって思う?」
う~ん…私って美術とかに疎いからな
よく兄さん達なんか私の絵を見て笑ってたし
特にクダリ兄さんなんか下手くそ―とか言ってからかってきたし
でも、この絵ってよく見ると
「私は、そうは思いません…絵って人によって見え方とか感覚とか多様に変化するものだと思います」
芸術って分からないですねと答えると
「ふーん…成る程…では、どう思うのかな?これはこれで芸術としてアリかもなとか思うわけ?」
「私は良いと思います…」
「ふむ…そうか…正直言うと、私もそんなふうに感じてるのよ…何とも荒々しい…躍動感を感じる筆使い…刻まれた歴史を鼻で笑う様なブラックなユーモア…なんというかさ、これはこれでかなりのアートかな?って」
…ん?
いま、刻まれた歴史って
それって落書きされたらかなりマズイものじゃないの?
今、知らないで答えちゃったよ!
どうしようと考えていると
「まあ、館長の立場では公にそんな事言えないけど…まあ、何にしてもよ慌てて修復して絵画に傷付けてもマズイしね…暫くこのまま飾っておこうと思うのね…まあ、なんだかんだで話題になってるしさ…しかし、こんな事する犯人って一体…どんな人なんだろうね?」
犯人の目的が見えない
カロス地方の歴史が気にくわない人の犯行?
それとも、只の気まぐれ?
よく分からないけど、とりあえず外に出ようと歩き出したら
館長さんに呼び止められた
「そう言えば、君の出身はイッシュ地方のカナワタウンだったね」
「はい、そうですけど」
私は館長さんに言われた通りの場所に行くと
何処かで見た事のある景色が書かれた絵画があった
タイトルにはバトルサブウェイと書かれている
私は暫くの間、その絵画に魅入ってしまった