第2章 待てない悪い子 [煉獄杏寿郎]
「煉獄さん…まだかなぁ…」
スマートフォンには10時過ぎると連絡があった、今は午後8時。
煉獄と付き合い始めて1年。
今日は職場の試験期間明けの飲み会と聞いており、合鍵を使って恋人の家のソファーにちょこんと座るトリ。
煉獄とは学生の頃、生徒と教師の関係で交際がスタートした。
無事にトリが卒業をし、KAMADOベーカリーのお手伝いの無い日は煉獄のアパートにお邪魔しにきたり、デートしたりと交際を満喫していた。
(まー、テスト期間も終わってだから、致し方ないかー…)
試験期間となると1ヶ月くらいは準備だ、採点だので会えなくなる。
ソファーから立ち上がり、煉獄がいつも寝ているベッドにぽすんと座る。
お風呂上がりのトリはベッドに置いてあった煉獄のパジャマに着替えてくんっと匂いを嗅ぐ。
部屋全体がお日様みたいな良い匂いでトリにとっては大好きな匂い。
いつも身に付けているパジャマやお布団などはその匂いが強く残っているのを知っている。
くんっと、パジャマの匂いを嗅ぐと煉獄に抱き締められているみたいでとても安心する。
ころんと、ベッドに横になり、ふぅーっとため息をつく。
「こんな、可愛い恋人が待ってるんだから、早く帰ってこーい」
煉獄さんの、ばーかと付け足した。
暫く匂いを堪能していると、トリは身体が熱くなって中心が疼いてくるのを感じた。
(まだ、帰ってくるまで時間があるし、だいじょーぶ、かな…)
1ヶ月振りに会うという事は、煉獄に身体を触れられて居ないという事。
トリは煉獄の匂いを嗅いだせいでむらっと、欲情してしまい、ぺろりと、自身の唇を舐めた。
更に深く、煉獄の匂いを嗅ぐと、気分も高まるのがわかる。
トリの身体の体温も上がり、鼓動も早くなるのがわかる。
それだけで、とろんとした表情になってしまうトリ。
目の前には居ない煉獄を想像して。
自身の指を唇に這わす。
自分でちゅ、ちぅっと可愛らしいリップ音を鳴らして指にキスをする。
顎のラインを通り、耳、耳殻、首筋を通り、鎖骨へと煉獄の唇が通るのを想像する。
自分の家でもこのように自慰を行うが、好いている人の匂いがあるのと無いのとでは興奮度が違う。