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鬼胎を抱く

第3章 鬼と弟子


念を教えると言われた直後に、ジンの弟子だという人が尋ねて来た。

「・・・。」

「・・・。」

そして、向かい合う私達。ジンは、それを見ながらケラケラと笑っている。
そういえば私、角を出したままだったな・・・。
そう思った私は、机に放り出したある頭巾を頭に巻いた。

「私、鄙鬼と言います。」

とりあえず、自己紹介をしてみた。
反応するかな、この人。・・・無視する可能性の方が高い気がする。
視線を寄こし、反応を窺う。

「・・・え!?あ、はい、カイトと言います。」

何だこの人・・・。
顔を真っ赤にさせ、何故か驚くカイト君。
名前は、カイトというよりカイト君の方がしっくりくる。
ジンは、今の自己紹介が面白かったのか、笑いすぎで咽ている。
ざまぁ・・・。

「ジン、念を教えてくれるんじゃないんですか?」

「ゴホっげほっ・・・、はー笑った。ん?あぁ、念の修行は明日からだ。今日はもう暗いし、危ないからな。」

「分かりました。それで、私はどうしたらいいですか?」

私の問いに、ジンは顎に指を当て、唸っている。
そういえば、カイト君はどうしたのだろう?さっきから静かだが。
体ごと向きを変える。
そこには・・・。誰もいなかった。

「・・・?」

部屋の外からドタドタと走る音がする。
カイト君か?
バンッと扉が開く。

「鄙鬼さん!隣の部屋を掃除しましたから、そこで寝て下さい!!」

私達の話を聞いていたのか、部屋を用意してくれたようだ。
でも、泊まると決まった訳じゃないからなぁ・・・。
ジンに視線をやる。

「お?いいんじゃないか?泊まってけよ。」

「・・・分かりました。お世話になります。」

そう言って席を立つ私に合わせて、カイト君も歩き出す。
部屋の前まで案内された私は、カイト君に頭下げ部屋に入る。

「鄙鬼さん・・・、かっこいい。」

カイト君が、そんな事を言っているなんて知らずに、私は眠る。




鬼と弟子END

おまけ→

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