第22章 ずっと一緒にいたいなあ
私には、好きな人がいる。
然し、彼は神社の守り神の狐だ。外には出られないのだ。
しかもこちらも仕事があるので、ずっと一緒にはいられない。
どうすればと考えるほど、私は悩んでいた。
「私、治とずっと一緒にいたいんだ。どうすればいいかな」
と彼に聞いてみると、
「私もずうっと名前といたいよ。うーん、そうだなあ。……君がこっち側へ来るのはどうかな?」
こう言われた。
そっか。彼が無理なら、自分から行けばいいんだ。
私はその日、ビルの屋上から飛び降りた。
「本当に来てくれたのだねえ」
「だって、私が死ねば、治とずっと此処にいれるでしょ?」
「ふふ…本当に可愛いなあ。愛してるよ。」
名前がこうやって死ぬのは予想外だった。
然し、こんなにも自分を好いてくれて、ここまでしてくれたのだ。
ずっと何百年も此処にいて退屈だったけれど、漸く愛を手に入れることが出来た。
「絶対に離さないからね。ずうっと一緒だよ。」