第17章 彼の愛
私は彼、太宰治と付き合って、一年が経った。
彼は優しくて接しやすい人で、告白された時は本当に夢かと思った。
そんな彼とは今同棲しているのだが、一つだけ気になる点があった。
それが、彼に一度も見せてもらったことがない、あの部屋の中だった。
彼に見せてと言っても必ず断られるし、自分の為に気にしないでいた。
然し、時が経つにつれて、段々と中を見てみたいという気持ちが高まってきた。
そして、彼がいないこの時間ならと思い、私はその部屋を開けた。
「な、何これ…」
其処には性別も分からない程に腐った人間の死体があった。
気味が悪過ぎて、私は吐きそうになった。
兎に角、早くこの扉を…
「何してるの?」
私が恐る恐る振り返ると、治が立っていた。
「お、治…な、何これ」
「ああ、それは私が殺した人達だよ」
「え…?」
「実はね、私がこれ程の君に関わってきた人間を殺すくらいに愛してるってことを伝えるために、君には秘密にしておいたんだ。何時か君に見せようと思ってたんだけど、見られちゃったなア」
「あ…あ…」
「名前もこの人達のように、閉じ込めて監禁してしまいたいなぁ」
彼の恐ろしい笑みを見て、私は彼との出会いを憎んだ。