第16章 開けては駄目
「此処の部屋だけは絶対に開けてはいけないよ」
私は彼に監禁されてから、こんな事を言われていた。
監禁に関しては、別に彼のことは好きだし、私も互いに独占されるような形を望んでいたので、苦しいものではなかった。
―――然し、今日は、どうしてもその部屋が気になってしまって仕方が無かった。
一体、中には何があるのだろう。
開けてみようとしても、中々扉が重くて押すことが出来ない。
精一杯の力を込めて、扉を押した。
すると、とあるものが見えてきて、私は恐怖のあまりに、後退りしてしまった。
その夜、
「ご飯、美味しいかい?」
「うん…美味しいよ…有難う」
ご飯は美味しいが、先程見てしまったものが気になり過ぎて食事に集中出来ない。
―――あれを見てしまったことは、彼には内緒にしておこう。
気付かれてしまったら、それが最後だと思うから。