第15章 依存
「治…別れてほしいんだ」
私は彼にそう告げた。
すると彼は、
「何でだい?」
と言った。
「治と付き合ってるのが辛くて…束縛が激しくてしんどくて…」
これは本当だった。
彼は束縛が非常に激しく、私が男性と仕事の話をしていただけでもしつこく問われたりする。
だから私はそんな彼と付き合うのが辛くて、今こうして別れ話をしている。
「……分かった」
「うん…今までありがとう」
思ったよりもすんなりと別れられたので驚いた。
あの束縛は一体何だったんだろうか。
翌日、私は如何しようもない位に治が恋しくなった。
「治……治!」
寂しくて彼を探していると、漸く見つけ出すことが出来たので、彼に抱き着いた。
「治…ごめんね…やっぱり私、治と一緒にいたい!」
「!!私もだよ…戻ってきてくれて有難う」
やっと、私のものになった。
私はずっと、この時を待っていた。
こうして名前が自分へ依存してくれる日を。
―――もう何も心配しなくていいよね。
私は嬉しさのあまり、彼女を抱き締めた。