第13章 彼の優しさ
「幹部…どうせ私なんて駄目人間ですよね…」
私は今、丁度仕事の書類をチェックしてもらいに太宰幹部の元へ来たが、思わずこの言葉を呟いてしまった。
最近は周りから色々と責められ、暗い気持ちになっていて、精神が安定していなかった。
「……」
数秒後、私は太宰幹部に頬を叩かれた。
「!!痛っ!!」
「…良いか。人間誰しも、悩むことはある。だが、それで君は自分を要らない人間と思うな!人は誰しも、意味を持って生まれてきたのだから」
何時も冷静で人に無関心そうな幹部からそんな言葉を聞かされ、内心驚いてしまった。
そうか、私は要らない人間なんかじゃないんだ。
「大丈夫…君には私がいるよ」
そんな言葉を耳元で囁かれ、思わず顔が赤くなった。
「え、それって…」
「っ!兎に角、君は早く仕事に戻り給え!」
「は、はい!」
幹部に叩かれた時、私が感じた優しさは、今も胸の中に残っていた。