第5章 ユニークなトランプ達は踊る
フィリップに手を引かれ、歩を進めるオーロラ。
もう少しで城内。そういうタイミングで、突如2人の前に人影が現れる。
「フィリップ王子様。無事にオーロラ姫様は見つかったようですね」
「お姫様〜。久し振りだねぇ」
フロイドと、ジェイドの2人組だった。
彼等はフィリップの世話係だ。当然今日の生誕祭にも同伴しているだろうと予想はしていたオーロラだったが。
それでもやはり、緊張した。
本当に彼等が、城の襲撃を計画したのだろうか?そればかりが彼女の頭をぐるぐると回っていた。
フィリップはそう確信しているようだが、やはり彼女にはまだそこまでの断言は出来なかった。
目の前でニコニコ顔のジェイドに。一緒に隠れんぼをしたフロイド。
そんな彼等がまさか。と考えてしまうのだった。
「私どもは、先に広間にてお待ちしておりますね。
さきほど開場されたようですので」
「また後でね〜」
フロイドとジェイドは、そう言い残して2人の前から姿を消した。
無意識で、ふぅ。と息を吐くオーロラ。
そんな彼女が、ひとつ気になった事がある。
『…アズールという人は、来ていないの?』
「いま奴は親父の側から離れられないからな。
今頃必至になって看病してるだろうな。親父に死なれて1番困るのが、アズール達だ」
『……』
オーロラは、彼の悲しげな横顔をチラリと盗み見た。
そして思い出したのだった。
彼が、自分の父親を飾りの王だ。と言っていた時の事。
彼女は願った。
フィリップとヒューバート王が、かつてのようにまた仲良く笑い合える日が
再び来る事を。