第25章 全てを 超えて
仲間と オクタヴィネルの3人に背中を押されるようにして、マレウスは城から足を踏み出すのでした。
しかし。
まだ彼の心は、彼を許しはしません…
マレウスの中には未だ、ローズに会う資格はないと、諌める自分が存在しております。
さらに厄介なことに、もう1つの問題も彼らの前に立ちはだかります。
それは…
妖精族と人間、その異種族に流れる時間の早さが異なること。
リリアは、マレウスがその問題に行き着いていると、分かっておりました。
伝えたい言葉が、無かったわけでありません。ただ、マレウス自身に気付いて欲しかった。自分で答えに行き着いて欲しかったので、口をつぐみました。
“ 人と人、妖精と妖精、人と妖精…。
心と心を触れ合わせるのに、人種など関係ない。
大切なのは、自分がどうしたいのか。恐れるな、躊躇うな、相手と自分の幸せだけを考えて 取るべき行動を決めろ。
大切なのは、先ではなく、今 ”
リリアは祈るように、その言葉を胸の中だけに留めたのでした。