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眠り姫の物語【ツイステ】

第24章 誠意の欠片も感じられない謝罪




「…やっぱり、ボクでは駄目 ということなんだね。
分かっていたけれど、これはなかなか堪える。

なにより、キミを目覚めさせる手立てがなくなってしまうじゃないか…」


リドルは、しばらくローズの長い睫毛や、小さく上下する胸を見つめていた。しかし、何かを考え込むように目を瞑り、やがて彼女に背を向けた。


「とにかく…皆んなと一度合流して、策を講じないと」


リドルは気を確かに持って、外で待つ仲間の元へ歩き出した。

と、その時。


ゴーーーン、ゴーーーン!


0時を告げる、鐘の音が辺りを満たす。


大きな音が突然 耳に飛び込んできて、リドルは反射的にローズの方へ振り返る。
勿論、時計塔の鐘の音が彼女を傷付けたりなどしない。が、リドルは過敏になっていた。どんな些細な不自然さや異音にも、咄嗟に反応してローズを守る体制を取ってしまうくらいには。


「…情け無い。ただの時計塔の音にボクは……」


しかし、過敏になり過ぎていたから彼だからこそ、いま気付けたのだ。その些細な変化に。

リドルは視界の端に、ある淡い光を捉えたのだ。
それは、彼女の腹部の上で組まれた手、指にあった。


「指輪…?いつのまに、こんなもの」


ローズの指で、控え目に点滅を繰り返している指輪の飾り石。
リドルは再び彼女の近くへと歩み寄り、それを注視した。


その黄緑色の燐光は、いやでも あの男を連想させた。
咄嗟に浮かんだ男を 頭の中から消し去ろうと、リドルは頭を左右にぶんぶんと振った。

しかし…彼女の手元では、相も変わらず指輪は切ない光を放ち続けていた。


「まさか、ローズ キミは…

呼んでいるのかい?あの男のことを」

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