第19章 悔恨と踠きのドラコニア
ローズが床に着いた後、置いてけぼりにされた4人は訳も分からず立ち尽くしていた。
そんな中、沈黙を破ったのはフロイド。
「なんかさぁ…お姫様の様子、超変じゃなかった?訳分かんね」
さきほどまでローズが腰掛けていた椅子に落ち着き、頭の後ろで手を組んだフロイド。
つまらなさそうに唇を尖らせる。
その真ん前の席に、アズールが座る。
「全くです。僕が提案した方法以外に、解決策があるとは思えない」
呆れるようにかぶりを振った。
「でも、解決出来るって言ってたじゃーん」
「その割に…ローズさん、あまり嬉しそうではありませんでしたね」
「ジェイドも思った?オレもそれ思った〜。なんかぼーっとしてさぁ、上の空って感じ。2階に上がった時も、顔赤かったし。変なの」
「えぇ。あれはまるで…
恋する乙女の表情でしたね」ふふ
ジェイドの言葉に、トレイの肩がピクリと反応する。
「え!何それ!お姫様、好きな奴いんの!?それってもしかしてウミガメちゃん!?」
フロイドの言葉に、トレイの肩はさらに反応する。
「…どうでしょうねぇ。ですが、少なくとも僕の目には…そうは映りませんでしたけどね」
トレイは、自分以外にもそう感じた者がいる事に、苛立ちと羞恥を覚えた。
「なーんだ!じゃあウミガメちゃんフラれちゃってんじゃん!アハ!残念だったねぇ」
フロイドの笑い声が、余計に彼の心を逆撫でした。
「フロイド、そんなふうにハッキリと言葉にしては、トレイさんに失礼ですよ。
まぁ彼は温厚な紳士なので、これくらいで腹を立てたりはしないでしょうが」
「はは。勿論だ。俺の心はそこまで狭くないぞ?」
ジェイドの嫌味にも、トレイは笑って答える。
そんな彼を、アズールは一番近くで見ていた。ゾクリと背中に悪寒が走り、思わず口を開く。
「ところで…ローズさんは、詳細を説明するのは明日だ。そう仰っていましたよね。と、いう事はです。僕達は今晩、ここに御厄介にならないといけない。
ベットは3台、空きがあるのでしょうか?」
トレイは、満面の笑みで返す。
「あぁ。それなら大丈夫だ。
床で寝ろ」
立てた親指で、ここの床を指差して言った。