第14章 我儘になりたいクイーン
『…あんな行為を繰り返しても、愛が芽生えると到底思えないけど』
「あー…あれはちょっとハードプレイだったかもね〜。
でもぉ、考えてみてよ。あぁいうのって、恋人同士がする事じゃん」
彼はどうやら、実際に恋人同士の真似事をして 真実の愛を見つけ出せと言いたいのだろう。
「まぁ本当だったら 恋人になってからするもんかもしんねぇけど〜
ほら、お姫様の場合は急ぎじゃん?」
たしかに、体の関係から入って その後に愛が芽生える。そういう話も聞いた事が無いわけでもなかった。
『…そういうもんなのかしら』
「そーゆーもん、そーゆーもん」
フロイドは、横座りになっている彼女の背中を ぐいっと引き寄せて自分の方に近付ける。
鼻先同士が触れ合いそうな距離感で、彼はまるで悪魔のように甘く囁く。
「だからさぁ…俺と真実の愛探してみる?今度は優しくしてあげるよぉ?」
フロイドは、まるで万華鏡を覗き込んだ子供のように彼女を眺め入る。
そして、徐々に近づいて来る 彼の艶かしい唇…。
『……』
ローズは彼の額を、ぐいっと押しやった。
『仮に、私がそういう方法を取る事があっても 相手にフロイドは選ばない』
「え〜なんでなんでー!なんでそんな意地悪言うわけ?ちょっとぐらいいいじゃーん!」
小さい子みたいに駄々をこねるフロイドが可愛く見えて、ローズは小さく吹き出してしまう。
「あ、そう言えば…オレ子供の時にもお姫様にキスしようとして怒られた事あったよねぇ」
『そうだった?』
「うん。そしたらねー思いっきり鼻噛まれた。あれはちょ〜痛かった〜」
懐かしい記憶が蘇り、彼女はまた 吹き出してしまうのだった。