第14章 我儘になりたいクイーン
ローズがフロイドの毒牙にかかっている まさにその時。
ハーツラビュルの城でも、ある騒動が起こっていました。
リドルが、森の家に現れなかった原因も その騒動によるものでした。
一国の王子として、由緒ある王家内で育てられてきたリドル。
その教育は言うまでもなく 厳格なものでした。
同じ王族であるローズとは、一線を画した厳しすぎる教育は
今もなお、彼の心を蝕み続けているのでした。
彼の心に未だに巣食っているのは…
ハーツラビュルの現女王。リドルの母親 その人なのでした。
彼は、森の家へ行きたくても行けなかったのです。
なぜならそれが、母親からの命令だったから。
リドルにとって、母親は畏怖の象徴。逆らいたくても、幼い頃からの慣習は簡単には拭えません。
母親が、ローズの元に行くなと言えば。それに従う以外の選択肢は 生まれる事すらないのです…。