第13章 絡みつく海のギャング
え?なに?何これ、どういう事?
フロイドがそう思うのも無理はない。それぐらい不可思議な情景が彼の目の前には広がっていたから。
『まだかしら…』
「こうし始めて…3日くらいだからな。さすがにまだ時間はかかると思うぞ」
「……ねぇねぇ。何してんの?それ」
今まさに、自分の目の前で面白い事がリアルタイムで起こっている。
直感でそう悟ったフロイドは たまらず2人の間に割って入る。
「フロイド!?」びっくりした!
『相変わらず神出鬼没ね。
これ見て!デュースと2人で今、一生懸命温めてるてるのよ』
「…ふーん、 何を?」
2人が大切に手に包んでいる物を覗き込むフロイド。
デュースとローズは、彼にそれを勢い良く見せ付ける。
「『卵!!』」
「なんで?どっちが早く腐らせるか競争してんの?」俺もやるー
フロイドは自分も早く卵を温めたくなって、どこにそれがあるのか辺りを見渡した。
「馬鹿だな。大切な食料を腐らせるわけないだろ!」
『そうよ、勿体無い…。
私達、思い付いちゃったのよ。凄い節約術を…』
「へぇー、どんな?」
デュースが自慢げに説明する。
「今まで何も考えず、卵はずっと市場で買って来てたけど…
“ これ ” を孵化させて鶏に育てれば、永遠に卵がタダで手に入る!」
「………」
勿論、フロイドは分かっていた。
市場で買って来た卵から、雛が孵る瞬間など永遠に訪れない事。
しかしフロイドは…素直にそれを2人に教えてあげるような、優しい性格はしていなかった。
「えーなにそれ天才じゃーん」