第12章 貴女の心が欲しいスペード
「はぁ…情けない」
大切な預かり金を勝手に使い込んでまで、手に入れたネックレスが。まさかインチキだったなんて。
『デュース…そんなに落ち込まないで?
ほ、ほら!よく見れば素敵なネックレスじゃない!綺麗だし…、そこはかとなく上品なような…、ね!』
「……ありがとう。ローズは優しいな…。でも、気を使ってくれなくても、大丈夫だから」はぁ
彼女がどのような言葉をかけても、デュースはガックリとうなだれたままだった。
ローズは考える。どうしたら、いつもの元気な彼に戻ってくれるのだろうと。
『…ねぇデュース?それ、もともと私にプレゼントしようとして買ってくれたのよね?』
「ん?まぁ…、でももう」
『私、欲しい!』
ローズは ずぃっとデュースに詰め寄る。
「!!」
彼は、思う。
どうしてローズは、いつも自分が欲しいと思う言葉を的確にくれるのだろう。
自分の心を軽くしてくれるのだろう。こんなにも優しく、包み込んでくれるのだろう。
デュースは、彼女の首元に 手に持っていたネックレスをそっとかける。
『ありがとう。私、大切にするから』
ふわりと微笑んだローズの笑顔を見て、なんだかそれだけで満足してしまうデュースだった。