第7章 真実の愛を見付ける為に
「ジェイド。茶」
「はい、ただいまお持ち致しますね」
「その後は肩揉んでくれ」
「かしこまりました」
「あとはー…何か、腹よじれるぐらい面白い話しろ」
「喜んで」
フィリップは、ジェイドに息つく間もないくらい指示を飛ばした。
おかげで彼は、ローズの後をつける事など不可能だった。
しかしフロイドがこの場にいない事実こそ、ジェイドの心を冷静にさせていた。
自分がこうしてフィリップに捕まっていても、片割れであるフロイドがローズを追っていると信じていたのだ。
その反面、フィリップは気が気ではなかった。
本当ならフロイドとジェイド2人共を自分の目の届く所に置いておきたかったが。
フロイドの姿がずっと見えないのだ。
まさかとは思うが…ローズの後を追っていたりなど、しないだろうかと。不安だった。
さらにフィリップには、腑に落ちない事が一点あった。
それはフロイドがローズを、身を呈してまで守った事。
どう考えても不合理ではないか。
しかしこのまま1人で考え込んでいても、答えが分かるわけがない。
フィリップは考えた末、
自分が出した命令を遵守して、部屋に茶を運んできたジェイドに問いかけてみる事にした。
「なぁ、ジェイド。最近のフロイド…どこか様子がおかしくないか?」
「そうですか?」
揺さぶりをかけたつもりが、フロイドはそっけない答えを返すだけであった。
フィリップは、もう一歩踏み込んで聞いてみる。
「…俺の許嫁の事、随分気に入ってるみたいじゃねーの」