第11章 最後の虚言

白い肌の小さなアクセントを、舌先で
クリクリとくすぐる。

柔らかかったそれが固くなるにしたがって
智の唇から甘やかな吐息が漏れ始める。

「はっ……ああんっ……」
眼の縁が、ほんのりと朱を帯びて
唇はプックリと充血し、頬を桜色に染めた。

不思議なことに、さっきまで張りを
失っていた肌も、しっとりと汗に濡れて
輝き出す。

一回りも細くなった腕は、意志を持って翔の首に
絡みついてくる。

恋のエネルギーを補給して
鮮やかに香り立つ躰に、翔はうっとりと魅入る。

(ホントに……智はすごい人だ……)
少々苦笑いは隠せないけど……
これほどまで求められたら、答えなかったら
男が廃る。

もう、こんなに求められてしまったら、
たとえ、智の躰が辛いことになってしまっても、
それでも、彼が欲しいだけ与えてあげたいと
思ってしまう。

「ねぇ……智どうして欲しいの？」
「全部……」

甘えるように言いながら
智も翔のシャツを脱がし始める。

露わになっていく逞しい肌に夢中で
口づけをして、愛する男の感触を
楽しんでいた。

胸に、腹筋に、たっぷりと舌を這わせながら
ジーンズの前を撫でてやる。

そこはすでに質量を増して
パンパンに張りつめていた。

「翔……これが欲しい……」
ファスナーを下したとたん、
翔の欲望もそのままに
熱い楔が勢いよく飛び出した。

智は、ずっと、ずっと、触れたかった
ソレに指を絡め、パクッと咥え込む。

「……うっ、ぁっ……」

感極まった呻きが翔の口から漏れる。
それもしかたのないことなのだ。

翔にとっても、この快楽はお久しぶり
なのだから……。

それ以上に、愛おしい人の舌が
自分のモノとはいえ、
咥えて、嘗めてくれている姿はあまりにも
扇情的で目に毒だった。