第57章 光秀の閨房指南
腰紐で結わえられたままの手でぎこちなく口元に触れられて、それだけで身体の中心がジクジクと疼いてしまう。
(あぁ…早くっ…もっと触れて欲しいっ…光秀さんは『身体に触れさせるな、極限まで焦らせ』と言ってたけど……私の方がもうっ…限界、かも……)
秘部は、一度も触られていないのに、既にぐじゅぐじゅに蕩けているようで、腰を僅かにくねらせるだけで、足の間にひどい滑りを感じる。
(んっ…すごく濡れちゃってる…うっ…欲しい…信長さまが…欲しい)
肌の感触が恋しくて、信長様の身体に自身の火照った身体を重ねようと身動ぎした拍子に、ぐらりと体勢が崩れてしまい、傍らに脱ぎ捨てたままにしてあった夜着に手をついた。
ーカシャンッ!
乾いた音が天主に響く。
「っ…あっ……」
音のした方をチラッと見遣った信長様の仕草に動揺を隠しきれず、速くなった鼓動を抑えながら、手探りで夜着の袂を探ると、すぐに小さな容器が指先に触れる。
そっと取り出してみると、容器の蓋に施された螺鈿細工の文様が、射しこむ月の光に反射してキラキラと妖しい輝きを放つ。
震える手で蓋を開けると、中には薄紅色のてらてらした練り香水が容器いっぱいに入っていた。
(これが…媚薬? これを、信長様のアレに……)
光秀さんの言葉が頭の中に蘇り、再び信長様の足の間に視線を向けると………
(やっ…まだこんなにおっきいの…)
つい先程、精を吐き出したばかりのモノは一向に萎える素振りも見せず、腹に付かんばかりに屹立したままだ。
媚薬を手に、逞しいモノに目を奪われていると、信長様が訝しげに問うてくる。
「……朱里、それは何だ?」
「……あっ…あの…」
(っ…び、媚薬だなんて言えない、恥ずかしくて…)
「俺に言えないようなものか?」
信長様の鋭い視線が痛い…でも…乱れるお姿をもっと見たい。
「あ、あの…これは、その…」
しどろもどろになりながらも、媚薬の容器に指先を埋めて中身をたっぷりと掬い取る。
ぬとっと指に絡みつく練り香水の感触が厭らしい。
指先に掬い取った【愛蜜香】を、信長様の昂りにたっぷりと纏わせると、鈴口の部分に優しく塗り込んでいく。
冷んやりと冷たい粘着質な感触が心地好い。
「くっ…はっ…」
信長様の腰がビクッと震える。
「んっ…信長さま、もっといっぱい感じてっ……」