第99章 新たな出逢い
はぁ…と大きな溜め息を吐きながら、信長様はいきなり私の額をペチンと指で弾いた。
「っ…い、痛ぁ…な、何するんですか??」
「そんなふやけた顔をする貴様が悪い。くれぐれも約束を違えるなよ?宴の場で俺の傍を一歩でも離れたら、その場で『仕置き』だからな。昨夜のような手加減は一切無しだ」
「ひっ…は、はい…分かっております」
(昨日のアレのどこに手加減があったんだろう…うぅ…恐ろしくて聞けない)
「ならば良し」
朱里の返答に信長は鷹揚に頷いてみせながら、心の中では別のことを考えていた。
(そうは言っても、どうせ男どもの方から朱里の傍に寄ってくるのは目に見えている。今少し牽制しておくか……)
「朱里っ…」
「えっ…ぁっ…やっ…んんっ…」
不意打ちに抱き寄せて、額にチュウっと唇を押し付ける。
先程、指先で弾いてほんのりと赤くなっていたその場所へ、今度は口付けて強く吸い上げる。
吸い痕が残るぐらい強く吸うと、朱里は慌てて腕の中で身動ぐ。
「っ…やっ…そんなに吸っちゃあ…痕、残っちゃう…」
「残してるのだ。貴様が誰のものか…今一度、皆に知らしめねばならんからな」
「うっ…そんなぁ…」
ーちゅっ…ちゅううぅ…
(あぁ…額に吸い痕なんて…恥ずかし過ぎるっ…)
「んんっ…も、やぁ…信長様の意地悪っ!」
「くくっ…貴様に意地悪していいのも俺だけだ。覚えておくがいい」
一際強くチュウっと吸い付いてから唇を離した信長様は、勝ち誇ったように宣言する。
得意げに口の端を上げるその顔は、悪戯が成功した子供のように可愛くて……
(もぅ…本当に困った方……
後で鏡で見てみなくちゃ…でもきっと、白粉で隠せないぐらいの痕なんだろうな)
恥ずかしい…けれど、それと同時にどことなく嬉しいような気持ちもあって…自然と頬が緩むのを、私は抑えられなかった。
「ふふ…覚えておきます。私は貴方だけのものですから…これからも離さないで下さいね?」
信長様の首筋に腕を回して抱き着くと、今度は自分から唇を重ねていく。
貴方の意地悪も束縛も、時に激しい独占欲も…本当は全部、全部、嬉しい。
だから…もっと、もっと…私を愛して……