第15章 発熱
信長様の言うとおり、熱は下がったらしく、褥から起き上がった時には、いつもの余裕たっぷりの信長様だった。
(家康の薬湯が効いたのかな…それとも…)
明るい天主の中で信長様に愛された記憶が蘇り、再び身体の熱が上がる。
信長様は既に着物を整えて、政務の続きに取り掛かろうとされていたが、私は未だ情事の余韻が消えず、褥から出られずにいた。
「ふっ、しばらくそのまま休んでおれ」
ぼんやりとする私に優しげに微笑みながら言ってくれた、
その時…
「御館様っ、失礼致します。お加減はいかがでしょうか?」
突然、天主の襖が開いて秀吉さんが入って来た。
乱れた褥に横たわる私を見て、呆然とした顔をしている。
「っ、朱里??お前、その格好、何やって…って御館様っ!
お熱は??……一体今まで何をしておられたんですか!」
「…はぁ…秀吉、煩い。熱はもう下がった。大事ない」
「下がったって……本当ですか??
無茶ばかりなさらないで下さい!
俺は心配で心配で…。
朱里も御館様を止めてくれないと……
大体、御館様は日頃から無茶が過ぎます!
この前の戦の時だって……って聞いてますか?俺の話」
その後、私と信長様は秀吉さんの愚痴とお説教を延々と聞く羽目になったのだった。