第83章 心とカラダ
(信長様も感じて下さってるの…?っ…もっと、もっと悦くなってほしい…)
女同士の身体の交わりなど、聞いたことも見たこともない。
(信長様に内緒で、一人でこっそり見たことのある枕絵にも書いてなかった…)
自分と同じ女の身体に触れるのは恥ずかしいし、手順なんて分からないけど……
ほんのりと蒸気した頬へ手を伸ばし、両手で包み込む。
「……っ…朱里?」
ほぅっと息を吐きながら、少し掠れた悩ましい声で名を呼ばれる。
キュンと高鳴る鼓動のまま、そっと唇を近づけて、自分から口付けた。
「んっ…ふっ…あ…」
しっとりと濡れた柔らかい唇の感触に、触れたところから、じんわりと熱が広がっていくようだ。
誘うように微かに開いた唇の間に、自分から舌を挿し入れた。
(恥ずかしいけど…もっと気持ち悦くなって欲しいから)
いつもなら、そのまま強引に絡め取られてしまうのだけれど、今宵の信長様は私のなすがままに委ねてくれているかのように、動かれない。
恐る恐る舌を絡めて…信長様の口内を味わう。
舌先で歯列をなぞり、上顎の裏を丹念に舐める。
口の中に溢れる唾液を互いに交換しながら、深く貪るように口付けを交わす。
(信長様…気持ちイイかな…どんなお顔なさってるのかな……)
口付けたままで、その表情を窺おうと、薄っすら目を開けると……熱っぽく私を見つめる深紅の瞳と、バチッと目が合ってしまった。
目が合った瞬間、悪戯っぽく不敵に微笑まれて、心の臓がドキンっと跳ねる。
「!?…っ…んんっ!?」
ーちゅううぅ…くちゅっ…くちゅっ
見つめ合ったままで、いきなり強く深く唇を吸われる。
信長様の口内で遊んでいた私の舌は、あっという間に絡め取られてしまい、唾液を交えて激しく舐め上げられた。
濃厚な口付けに頭の奥が痺れたようになり、思考が追いつかない。
互いに貪るように、口付けを求め合って…ようやく離れた時には私の身体はぐずぐずに蕩けていた。
信長様もまた、いつもよりも息が上がっているように見える。
「信長様っ…あのっ、仰向けになって…下さい。今度は私が……信長様にも、もっと気持ち悦くなって欲しいから……」
「っ…朱里っ…?」