第10章 つよがり
「…もうとっくに捕まってるけどね、俺は」
「え?」
「ハルちゃんの籠ン中に。こっそり不法侵入して」
「…」
ちょっと、その通りかも…。
「そのくせ、ずっといましたって顔で。当たり前みたいに尻尾振って、餌ねだってね?」
「ふふふっ」
ホント、そのまんまかも。
「…いっつも、そうなんだろうな…」
「え…?」
「いっつもさ。ご主人様の愛に飢えてる。俺はこんなに好きなのにー、って」
「…」
相葉、くん…?
「ずーっと、待ってるんだよね。見てる。ずっと。ただ、『ご主人さま大好きー!!』って思いながら。いつか…本気で、撫でてくれるのを…」
「…」
犬の話…じゃない…?これ、独り言じゃ、ないよね…?
「待ってんだよ。ずっと。…愛して、くれるのを」
「…」
頭の下で両手を組んで、仰向けにベッドに寝そべって。その目は、ずっと閉じられたまま。