第3章 僅変化-WAZUKANAHENKA-
恋人と過ごす久々の休日。
買い物も済ませ、二人でソファでまったり。
今はお昼過ぎ頃。
ここまで聞けば、誰かに嫉妬されるぐらい充実した状況だろう。
ここまで聞けば、だ。
「ね、ねぇロー?」
「なんだ?」
「さ、さっきから何してるのかなあって…」
「お前に触れてる最中だ」
「いや、これは触れるというより…」
揉まれてるよね?
しかも、ぶにぶにぶにぶにと!
「や、やめてよもうッ…」
「なんだ、感じてんのか?」
「お腹が感じるワケないでしょッ!!」
「じゃあ違う所を…」
「今はとてもじゃないですがそんな雰囲気ではございませんッ…!!!!!」
そう、今日明日と、ローとお休みが重なり、久々のお泊まりデートだ。
最初はお昼をどこかに食べに行こうとしていたのだが、ローが私の家でゆっくりしたいというので、私もその案に便乗した。
ローからリクエストされた料理の食材を一緒に買いに行き、ソファでゴロゴロしている。
そして、先程からずっとお腹のお肉をぶにぶにされている。
ものすっごく遺憾である。
ローとは、そんなにしょっちゅう会えるワケではない。
お互いに仕事が忙しいからだ。
そんなローとゆっくり過ごすのは、私もとても嬉しいのだが、この状況はなんだ。
「貴様、触るなと言っておろうが」
「何キャラだよ」
「何でもいいでしょ、早く手どけて!」
「じゃあこっちなら…」
「真昼間から盛るなあッ!!」
胸に伸びてきたローの手をペシンッと叩くと、再びお腹をぶにぶにと触ってきた。
「ちょっとロー、本当に怒るよ…?」
「なんで怒るんだ?」
「だからッ、お腹触られるのイヤなのッ!さっきから何度も何度も言ってるのにぃッ!!」
ローに抱きかかえられているため、手足をジタバタさせる事しかできない。
そしてそんなローの手は、未だに私のお腹から離れない。
「前はそんなに嫌がらなかったじゃねェか」
「そ、それは…」
実は、ちょっとばっかしローに会っていない間、仕事のストレスでつい食べ過ぎてしまい、顔や他の部分には出ていないものの、“体重“と“お腹“だけにはその事実が如実に表れていたのだ。