第17章 育まれる関係
「私、.....時間だから行くね」
朝から天国へと連れて行かれ、時間がかなりやばくなって来てた私は、彼に一言伝え自分の荷物を手に、玄関に急いだ。
「セナ待て、忘れ物だ」
慌てて玄関から出ようとする私を彼が呼び止めた。
「........何?」
忘れ物なんかないと思うけど.......
不思議に思いながらも、彼の方を向くと、
「貴様にやる」
「え?」
ふわりと抱きしめられたかと思ったら、
シャランと、胸元に何かが垂れ下がった。
「え、これ..........?」
いつの間にか、お花をモチーフにしたネックレスが胸元に下がっている。
「海外出張の土産だ。太陽みたいな貴様に似合うと思ってな」
そう言うと、彼はちゅっと首筋にキスをした。
このネックレス、Bbの広告ページで見たことがある。
サンフラワーをモチーフにした、ハイブランドの最新作だ。
それに、太陽みたいって.......私の事、そんな風に思ってくれてるの?
「うぅーー、胸が小さい位でわがままを言ってごめんなさいぃー」
太陽どころか、梅雨空の様にジメジメと彼を責めた自分が恥ずかしい。
「ふっ、わがままを言ったり泣いたりと、忙しい奴だ」
彼は笑いながら私の頬の涙を拭う。
「だって、うぅっ.......嬉しくて.....」
太陽なんて言葉もったいない。信長の方こそ私にとっては太陽の様だよ。
「嬉しいなら、笑え」
笑えと言われたけど、優しく抱きしめてくれるから、感動してまた涙が出た。
一枚も二枚も上手で大人な彼に私が敵うわけもなく、結局頬をムニッとつままれ無理やり笑わされた。
彼の家のカードキーはそのまま持っておけと言われ、預かる事になったけど、この広い部屋でこれからも一人で待つのは耐えられそうにないから、今後は彼の仕事が終わり次第、私の部屋に来てもらう事にした。
そして、
「スマホを貸せ、俺のを登録しておく」
ご飯を一緒に食べられそうな日は連絡をくれると彼が言ってくれ、私は漸く彼と連絡先を交換する事ができた。
彼との初体験→初デート→ホテルへ初お泊まり→彼の家へ初お泊まり→連絡先をゲット!
と、順番はかなりぐちゃぐちゃになったけど、漸く彼女らしい関係を彼と築き始めることができ、私たちなりの恋人関係がスタートした。