第1章 私は、花魁
「梅月花魁…朝餉持ってきたよ」
小鳥がさえずるような
可愛らしい声で目が覚めた。
「ん…小春かい?
入っておいで」
布団のそばに盆を置くと、
恐る恐る私の顔を見上げた。
昨日よりいくぶん頬の痛みは引いた。
腫れも赤みも治っていれば良いが。
「梅月花魁、まだ頬が少し赤いよ。
これ…」
小春の手には手拭いが握られている
「?」
受け取ると、ひんやりと冷たかった。
「頬を冷やした方がいいと思って」
「まぁ、私に?ありがとう小春。
嬉しいよ」
微笑みかけると、
小春は桜が満開になったような笑顔を
私に向けた。