第7章 本当の姿
「…チッ、お前らできてんのか
俺は先に行くぜ!」
そう言うと、大男は音も立たずフッと
姿を消した。
「梅月ちゃん!大丈夫?怪我ない!?」
「大丈夫、ちょっと擦りむいただけだから。
善子…生きてて良かった。
ありがとう、助けてくれて」
「…俺の名前は我妻善逸。鬼殺隊の剣士なんだ。
今まで嘘ついててごめん」
「謝らないで!善…逸が男の子だっていうのは
なんとなくわかってた。
…遊郭にきたのは、このためだったんだね」
善逸は静かにうなずいた。
「テメェ!紋逸!いつまでグダグタやってんだ!!
行くぞ!!」
猪頭が叫ぶ。
あの子も鬼殺隊なんだ。
「…ごめん、梅月ちゃん。俺行くよ」
「善…っ」
行かないで
油断すると口から出てしまいそうだった。
「チュン!」
ヒョコッとあの時のスズメが
善逸の肩から顔を覗かせる。
口に何かくわえているようだ。
「これ、藤の花のお守り。稀血の子は鬼のご馳走なんだ。
これを持っていて。
俺の代わりに、梅月ちゃんを守るから」
「うん、ありがとう。
善逸、どうか死なないで…」
初めて出会った時のように、
今度は私が善逸の両手をギュッと握った。