第5章 彼女と城と僕と
『私は何を言われても気にはしないけど、未来ある若者は守られるべきだからね』
そう言うと春歌先輩はニッと笑いました
黒子「子供扱いはやめてください」
『はは、私からしたら黒子君はまだ子供だよ』
──遠い
たった2つ違いなのにこんなにも先輩は遠い
フワリと揺れるカーテン
『さて、黒子君はどうしたのかな?』
黒子「なんでもないです。本の続きが気になりました」
『持ち出し厳禁だからね。いや、黒子だけならいいか。良かったら借りてくかい?』
僕は首を振りました
これ以上先輩との距離を開けたくない
この感情が恋とも知らなかった僕はやはり子供でした──。