第6章 誘拐
テオside
目が覚めた場所は、暗い牢獄。
見れば両手足は鎖に繋がれている。
「…う…ぅ…」
?「あ、起きたー」
なんの悪意も感じられない無邪気な声。
「…お前…は…」
?「忘れちゃったー?」
「…フェリ…カ…」
フ「そー!!覚えてくれたね」
まだ身体に痺れが残っているのか、身体が動かない。
フ「…ふぁああ…タイクツ~…。もっと暴れたかったな~…」
フェリカはちらっと私を見ると、私に覆い被さってきた。
フ「…ちょっといじめちゃおっかな~…?」
突き飛ばしたくても手足が繋がれて動けない。
「…な…なにを…」
フ「えへへジョーダンジョーダン」」
「っ!!」
かまいたちがフェリカに飛んでいった。
フ「うわぁっと」
「調子に乗らないことですね、フェリカ。私は両手が封じられようが何しようがかまいたちくらいなら出せます」
フ「…さすがにおふざけが過ぎたかな~」
フェリカはぴょこんと座った。
フ「でもタイクツなんだもん。タイクツってね、大嫌い」
………………。
「なぜ…あなたがこのような場所にいるのですか?」
一瞬、可愛らしい顔から無邪気な笑顔が消えた。
けどすぐに笑って、
フ「個人じょーほー」
とはぐらかした。
そのとき、私はフェリカの迷いを知る由もなかった。