第6章 誘拐
テオside
――数時間後――
ル「…いないわね…」
「いませんね…」
見つからないんですよね。フェリオット。
ル「ちょっと休憩しよう?疲れた…」
「ええ。そうですね、私も」
確かに疲れました…。
水辺に腰を下ろすと、ルーシィさんが隣にきた。
ル「…ねえ、テオ」
ルーシィさんが切り出した。
「何でしょう?」
ル「…テオも、なにかつらい過去があるんだよね…?」
胸がズキンと痛んだ。
ル「…フェアリーテイルのみんなはね、みんななにか抱えてるんだって。ナツも、グレイも、エルザもみんな」
「皆さんが…?」
ル「…うん。前にミラさんが教えてくれたんだ」
…………。
「そう、なんですか」
ル「あたしもね、あたしのせいでみんなを傷つけちゃったことがあったの。もう追放されると思ったよ。けど、みんな笑顔で慰めてくれて、マスターも。嬉しかった」
「マスター…?」
ル「ああ、まだ会ったことないよね。マスターは…」
「…!!」
私はルーシィさんの話を最後まで聞かなかった。
「竜巻!!」
ル「て、テオ!」
「何者ですか…?」
姿は見えない。が、気配がある。
強い悪に満ちた気配が。
?「あれー?見つかっちゃったぁ」
?「お前はまだツメが甘い」
?「ふふふ。厳しいわねぇ、レジェンド。そういうとこがかわいいじゃない」
?「とにかくさっさと終わらせようぜ」
幼げな女の子に、マントを羽織った青年。
そして妖艶な雰囲気の女性と刀を差した男性。
ル「な、誰よあんたたち」
?「…お前に用はない」
「…私…!?」
?「フェリカ」
フ「はいは~い」
フェリカと呼ばれた女の子が私達に手のひらを向けると、紫色の触手のようなビームが向かってきた。
ル「ひーっ」
「ルーシィさん!!」
うろたえているルーシィさんを横抱きにしてよけた。
「逃げます。応戦の用意を!!」
フ「うわぁすごーーい!!あんな足手まといがいるのに私のビーム避けちゃったー☆!!」
?「おいフェル!!避けられてどうすんだよ!!逃がしたらオレらの責任になるんだよ!!」
フ「だってぇ…。レジェンドが加減しろって言うんだもん」
?「…ジェスティ」
ジ「わかったわよ、レジェンド。さ、フェリちゃん。見ておきなさいな」