第10章 進む
楓風の二回戦目の相手は飯田。
ここで推薦者の実力を見せつけることになる。
飯田の個性と似たようなことが出来る楓風。
だが会場にいる人達は、ふわふわした見た目から、勝手に判断してしまっていた。
優しさから、負けてしまうのではないかと。
だが彼女は負けず嫌い。
そんなことはありえなかった。
開始の合図とともに飛び出して来た飯田。
楓風は、その場に立ったまま動かない。
観客がハラハラとしていると
飛んできた飯田の風の軌道を変え、地面に叩き落とした。
初めて見せる技に、会場内が一瞬シン…と静まり帰った。
「さすが推薦入学者!!
見た目で舐めてると痛い目みるぞ!!
容赦ない攻撃!!」
「成瀬は…軌道も変えられる。
だから高速移動が武器の飯田には相性最悪だな」
すかさず解説解説が入る。
先程見せたレシプロバーストをしようとする飯田。
楓風はそのまま敢えて技をさせると、
軌道をかえて自分を避けて場外へ行くようにし、壁に追突させたのだった。
「飯田くん場外!!
成瀬さん、三回戦出場!!」
あまりにも呆気なく、
そしてとんでもない個性。
楓風への歓声があがった。
* * *
「楓風ちゃんお疲れ!!
あんなことも出来るなんて流石や…!!」
『えへへ、ありがとう!!』
客席へ戻ると、祝福を受けた。
「成瀬お前、連続で無傷じゃん
余裕そうだよな」
「でも次はそうはいかないんじゃない?」
『あれ、次の相手って』
「轟くんだよ」
「すげぇ、幼馴染み同時!!しかも相思相愛の」
楓風は固まって動かなくなった。
まさかの相手が、
焦凍なのだ。
(え、まさかそんなことってある?
焦凍とガチバトルとかしたことないよ
小学校のときよくお互い練習相手とかはあったけど…。
しかも仲直り的なのしてすぐだよ?
焦凍優しいから手加減しちゃうかも…
いやそんなの私が絶対許さん!!いくら焦凍にだって負けたくないもん)
「あれ、知らなかった感じか」
「全く動かなくなった」
「呼吸してる??」
「楓風ちゃーん」
果たして、三回戦はどうなってしまうのか。
A組一同は楓風と焦凍の状況も知らず
楽しそうに楓風をいじるのだった。