第6章 関係
『お、お疲れ様!!流石だね、焦凍』
戻ってきた焦凍に駆け寄って声をかける楓風。
『…へ!?ちょ、ちょと焦凍!?
み、みんないるよっ…!!』
すると急に抱き締められ、嗅ぎなれたお互いの匂いが鼻に広がった。
「…それ、誰もいなきゃいいってことか」
とこんなときにも正論をかます焦凍に、楓風は驚いて固まった。
(いや、確かにそういう意味に…なっちゃうけど!)
『ど、どうしたの急に…?』
「…さっきお前、爆豪に抱き付いてただろ」
『いやあれは…!!仕方がなかったというかなんと言うか』
「楓風は昔から終盤の方に頭回んなくなって咄嗟の判断に欠ける。
もっと気を付けろ。…抱き付かなきゃあんなことにもなってねぇ
完全に自業自得だ」
ツラツラとまた正論でダメージを加えてくる焦凍。
『う…、ごめんなさい。
気を付けます…』
「…あぁ。それだけだ」
と腕をほどき、モニタールームへと入って行った。
(…ん?結局私はなんでハグされたんだろ…)
とハグの真意が分からず混乱する楓風。
そう。彼女は鈍い。鈍感なのだ。
(…っていうかまた何も言えなかった…!
私ばっかりすっきりしてちゃ、ダメだ)
(つい抱き付いちまった
…なんか不安になってたのもあるかもしれねぇ)
焦凍は、知らず知らずのうちに楓風に寄ってくる男への嫉妬、そして父に対する思いが強くなって、抑えられなくなっているのだった。