第5章 負けず嫌いと負けず嫌い
*焦凍side*
楓風のチームの戦闘訓練。
改めて楓風を見ると、やっぱり前とは比べものにならないほど使いこなせるようになっていた。
(守られてるばかりじゃダメ、か)
俺はいつも、そばにいてくれたお前に救われていた。
…守られていたのかもな。
だから中学に上がって楓風が俺から離れて行ったとき、1人では耐えきれず親父への憎しみや色々な感情に負けてしまった。
またお前が側にいてくれるようになって、確かに救われている。前より気持ちが楽だ。
…それでも。
一度着いた火はだんだんと大きくなりつつあって、それを消すには時間がかかる。
(俺はまだ、クソ親父を許すわけにはいかねぇんだ…。だから)
「…あぶねぇから外に出とけ」
(俺一人で…充分だ)
俺は一瞬で建物全体を氷結で覆ったが、核は凍らせず、敵役の二人だけを封じた。
「悪ぃな…レベルが違いすぎた」
核に触れ、五分もかからず終了した。
そう、俺は…
熱を使わなくたって勝てる。
クソ親父の力なんざなくたって…!!
このまま右の力だけで上に上がって、やつを完全否定する!!