第3章 リスタート
『おおお、雄英だっ…!!』
目をキラキラと輝かせて感動する楓風を見て、心配になる轟。
(なんかふわふわしてて…危なっかしいんだよな)
『ねぇ焦凍みてっ!!
ドアでかい!!すごいねっ!!』
「…そうだな」
(今になって心配する親達の気持ちが…分かる)
ドアを開け、教室に入ると既に15人近く揃っていて、何やら揉めているようだった。
「おい、そこの君!!
机に足をかけるな!!雄英の先輩方や机の制作者方に申し訳ないと思わないか!?」
「思わねーよ
てめーどこ中だよ端役が!」
メガネをかけている、いかにも真面目そうな人と、
トゲトゲ頭でつり目の不良っぽい人。
「ぼ…俺は私立聡明中学出身
飯田天哉だ」
楓風は思った。
(うぉお、やばいぞこれ
どこ中だよ、って聞くのthe★不良って感じじゃねぇか…。不良おっかねぇよ!!
そしてメガネの真面目くんも答えんのかい、真面目だな!!
正直わたし両方苦手なタイプかもしれない!!
関わりたくない!!
どうしよう、高校生活詰んだ!?いや詰んだよねこれもう)
助けを求めるように勢いよく焦凍へ視線をむけたが、
(なんだこいつら…)
という感想を抱いてそうな顔(※彼はポーカーフェイスです)
をしていたため楓風は泣きたくなった。
「聡明~~~!?
くそエリートじゃねえかぶっ殺し甲斐がありそだな」
(ひぃ!!ぶっ殺し甲斐…!?
女子のいじめ集団の比じゃないっ…!!)
「ブッコロシガイ!?君ひどいな本当にヒーロー志望か!?」
いやほんとそれな、と楓風は真面目君に共感してしまった。
するとそれが声に出てしまっていたらしく、こちらに気付いた真面目くんが「俺は私立聡明中学の…」と同じ自己紹介を始めようとしたため慌てて阻止した。
『聞いてた聞いてた!!私は成瀬楓風だよ!飯田君だよね、よ、よろしくねっ!!』
(ま、真面目くんコワイ…)
「成瀬君か、よろしく頼む!!
ム…!?そこの君は…!?」
と隣にいた焦凍にも自己紹介を促す飯田君。
「…轟焦凍だ。」
短くて簡潔な焦凍らしい自己紹介に、楓風は笑った。