第8章 親友の定義※
あの日から数ヶ月。クマラを頻繁に夜誘っては行為を繰り返すロジャーに、流石の船員達も気付き始めニコニコして今後の二人を見守る状態が続いていた。ましてや昨日の夜相当激しくなったのか、ロジャーは腰が痛くて自室に籠っている
「優しくしてやってくれよ?うちの船長なんだから」
「……優しくしてるつもりなんだがな」
ロジャーにも快感の耐性が着いてきたのか、最初の時の行為では物足りないと徐々に重なっている時間が多くなってきたロジャーとクマラ。昨日はもっとクマラを感じたいと、クマラの興奮が治まるまでやってくれとロジャーが口にしたのが発端だった
プライベートな事なのでそんな事を口にしないクマラだが、隣で聞こえていたレイリーは「彼奴にも少し自重する様言わねばな」と苦笑い。公認され始めてから恥を捨てたのか、ロジャーは声を我慢しなくなったのでレイリーへの被害も甚大ではない
ロジャーで興奮している訳では無いが、気持ちよさで呂律が回らないロジャーが今現在クマラが何をしているのかを「奥まで」や「ゴリゴリって」など、単純な言葉で口にするのが聞こえるので想像してしまうのだ。無論、それは自分と重ね合わせてしまうという意味で
絶対にバレないようにとは思っているが、次の島に降りたら張形を買う予定を定めたレイリーは、今のうちにどれくらいなのか見ておかないとと考える。そう言う事はしてくれなくていいので、妄想くらい許してほしいのだ
「そういえばそろそろ俺も自分の船に戻らないとな」
「唐突だな?」
不意に船をおりる宣言をしたクマラにレイリーは驚きつつ、前々から元の旅に戻る準備は進めていたことを知らされる。クマラの旅の理由は一応知っているが、レイリーにとっては腑に落ちない理由の為降りることには少し反対したかった
だが、海の地平線を見つめるクマラの瞳を見ているとどうも口に出せないレイリー。寂しそうで……でもどこか楽しみにしているような不思議な瞳は、レイリーの「行かないでくれ」という言葉を封じ込めた
「どこで降りるんだ?」
「次の島辺りの方が都合がいい」
「わかった、伝えておく」
寂しくなるな。そう言うレイリーにクマラは目を細めて「そうか」と口にした