第8章 親友の定義※
数十分後、ウキウキワクワクを隠せない様子のロジャーが何故か風呂上がりの姿で現れた。その頃にはスイーツを食べ終わっていたクマラは、ロジャーのその姿にただ首を傾げる
「どうしたロジャー、風呂に入りたかったのか」
「まぁな!今からお前と交友を深めたかったから必要な事なんだ」
「?」
全く理解が出来ないと言った表情のクマラに対し、ロジャーはこっちこっちとクマラを風呂があると思しき部屋に連れ込む。上がったらちゃんと来いよ、と言ってロジャーは浴室の扉を閉めた
ロジャーはたまに奇行に走るな、とため息を吐いたクマラだが、暫く風呂に入っていなかったので丁度いいと服を抜ぐ。それにしても風呂に入らねばならない交友とはなんだろうと、クマラは首を再度傾げるのであった
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「上がったぞロジャー」
「おかえり!」
しっかり風呂を満喫したクマラは、ソワソワした様子でベッドに座り込み笑顔で迎え入れるロジャーに適当な返事をする。ロジャーは終始笑顔であり、少しばかり不気味さをクマラは感じた
「どこか頭でも打ったのか?」
「は?」
「いや、いつもと様子が全く違うから」
気になったんだ、そう言うクマラに対しロジャーはより一層ソワソワし、実は……とクマラの手をとる。何が何だか分からないクマラは終始首を傾げた
ロジャー的には、そろそろ二人の関係をもっと深めたいと思ったとの事だった。クマラもそれは構わないのだがと口にするが、関係を深める……つまり、仲を深める為にどうして風呂に入る事になるのか理解ができない
そんなクマラを置いて、ロジャーはいそいそと何か準備を始めた。まぁロジャーがやる事ならとそれを眺めるが、明らかに親友間では使いそうも無いものばかりがロジャーの準備する箱から出てくる
一つ手に取り、中身がローションの類である事を確認してロジャーの方へと視線を向けるクマラ。まだ出てくる異様なものに、クマラは少しばかり顔を顰めた
「ロジャー、これは恋仲や夫婦間で使うものじゃないのか?」
張形を持ち出し、掌にぺちぺちと叩きつつそういったクマラにロジャーが肩を震わせる。そっと振り返ったロジャーの顔は少しばかり罪悪感が浮かんでいた