第6章 親友
「親友になろうぜクマラ!」
「しんゆう?」
なんだそれはと言った顔をするクマラに、ロジャーは腹を割って話せる親しい間柄の事だと珍しく丁寧に教えた。何度か耳にする単語で、魅力的だと感じてはいたがまさか申告制だとは思っていなかったクマラは簡素な返事が出る。どうだ?というロジャーにクマラは頷くしかできない
「よし!じゃぁ俺達は今日から親友だ!!」
「それはいいんだが……いきなりどうした?」
軍艦との接触から数ヶ月が経っていた今日、いきなりそんな話をもちかけてきたロジャーにクマラも疑問をぶつけた。一瞬目を逸らしたロジャーだが、すぐに目線を戻し「俺達仲良くなっただろ?」と笑う
そんな物なのかと思いつつ、魅力的な響きにクマラも少しばかり満更でもなさそうに「親友なぁ」と呟いた。それを聞いてロジャーは罪悪感の湧いたような顔をする。だがそれも一瞬のことで、すぐさまいつもの表情に戻った
「ロジャー……」
その様子を見守るロジャー海賊団副船長、レイリーはソワソワした様子で、尚且つ心配が募るような様子で影から覗いていた。ロジャーから軽く相談を受けていたレイリーは、ロジャーが抱えている問題に真剣に向き合っている
ロジャーは、所謂“恋”をしていた。どの瞬間で、どう言った経緯があって恋をしたのかは本人も定かではない。ただ、仲間が傷ついた時とは違う不安と怒り、悲しみが一気に押し寄せ、ロジャーは一瞬ロジャーでは無くなったのは本人も自覚している
二人の恋の行先を見守るつもりでいるレイリーだが、ふとそういえばあのガープはと記憶を巡らせる。あの感じからして、明らかに知り合いのはずなのにクマラは知らないふうな顔だったのだ
忘れっぽいのか?それとも誤魔化しただけか。悩みに悩むも今それは関係ないとロジャー達に目を向けたレイリー。積極的にクマラの横にいるロジャーは、人の目が無いのをいい事にマントの下にクマラの手を誘導し、恋人の様に自分の手とクマラの手を絡め始める
よくあれで気付かないなあいつ、とクマラに呆れ気味でその様子をしっかり眺めたレイリー。ロジャーの右腕として、ちゃんと船長の恋の行方は見てやろうと微笑むのであった