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夢過ぎる水溜りボンド

第5章 episode5


兄は、実家からの仕送りをほとんど受けていなかった。
実家から通えない大学に行くことを決めたとき
学費以外の生活費は自分で工面するといい、それを守っていた。
私の分の仕送りは毎月できるだけ自分のためだけに使えとも
言ってくれていた。

そのため、兄はいつも忙しかった。
学校、サークル、バイト。
私を気に掛ける余裕なんてないと思っていた。

でも、兄はよく見ていた。

ある日の夕食時、その後バイトがあるからと
急いで食事をしていた兄が私に話しかけてきた。

「今のままではダメって顔してるよ。大丈夫?」

「だって…言われたことしかできてない。。」

兄に隠し事はできない。
素直に思っていることを言葉にした。

「自分を出さないと、マコトである意味がないよ。…きっと。」

兄は私が相談するまでいつも待ってくれた。
そんな兄からのこの言葉は刺さった。

私は刺さったその言葉を兄がバイトに行っている間中
悩み、考えた。嬉しかったし、悔しかった。
こんな気持ちも全部初めてだった。

そして兄の帰宅後、兄に言った。

「私、動く。…あの人たちにとって、意味ある存在でいられるように。」

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