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夢過ぎる水溜りボンド

第2章 episode2


兄の行きつけのラーメン屋で人生初の替え玉をした。
自分がこんなに食べれるなんて…
それにしても今日は初めてなことばっかりだな。と思いながら
書きかけのメモを読み返していた。
向かいでチャーハンを食べている兄が見せてほしいと言ったが
まだ書きかけで完成してからにしてとお願いした。

渋々了承してくれた兄は最後の一口を水で流し込みスプーンを置くと
私が考えたこともなかったような提案を話し始めた。

「マコト…マコトさえ良ければこっちで一緒に暮らさない?」

『え…?』

「父さんと母さんにも相談はしてるんだけど、マコトは環境を変えた方がいいと思うんだ。
新しい学校の勉強も、受験勉強も、こっちにいてもできるでしょ?
それに…地元には会いたくない人…たくさんいる…よね?」

兄は言葉を選びながら話してくれた。

「それにさ!お兄ちゃんこれからバイトとかサークルとかもっと頑張りたいんだよ!
マコトが家で家事してくれたら助かるのになぁ~ってね!
まぁうち狭いし…もちろん、無理にとは言わないよ??」

『お兄ちゃん…。』

素直に嬉しかった。
新しい自分になれるかもしれない。そう思った。
でも、勢いだけで決めていいの?その優しさに甘えてもいいの…?

『お兄ちゃん…歯に、ネギついてる。』

慌てる兄と、それを見て笑う私。

『ふふふ…お兄ちゃん。ありがとうね。嬉しい。』

顔を赤くしていた兄が笑顔でピースサインをしてくれた。

『私…変われるかな?』

ぼそっと呟くと兄は真っ直ぐな瞳で力強く

「変われるよ。変わりたいと思うなら!」


今日一日我慢していた私の涙腺はここで決壊した。





木の葉が全て地面に落ちきるころ、私たちは二人暮らしを始めた。
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